クッション性は身体に良い?をちょっと哲学してみた

普段靴を選ぶ基準は何でしょうか?
『デザイン』『機能性』『大きさや形』『履き心地』それぞれの人がそのとき靴を買う目的や、趣味嗜好、その時のブームなどによって異なることでしょう。
そんな中今回は、靴選びや身体に良い靴を語る上でやたらと見聞きする耳馴染みの良い、『クッション性』というものに注目し、
果たして「クッション性は身体に良いのか?」という問題を、
そもそも「なぜクッション性を求めるのか?」ということやクッション性が持つ特徴を整理して解説していこうと思います。
早速結論ですが、
クッション性が高いと身体は緊張し、疲れやすい。
この記事を読むことで、
- 足や身体に負担の少ない靴の選び方
- 履き心地の良い靴を履いているはずなのになぜ足が疲れるのか
- クッション性の良さを謳う全てのものの正しい見方
がわかり、より健康的な思考が身につきます。
目次
そもそもなぜ靴にクッション性を求めるのか

まずはなぜ多くの人が靴にクッション性を求めているのかを考えていきましょう。
考えられる要因は二つあります。
一般的に良いとされているから
常識というかなんというか、クッション性の良い靴が身体に良いという感覚が当たり前のことだと信じて疑わない人がほとんどではないでしょうか。
小さい頃から周りで見聞きすることはその人にとって常識となり、疑うことなく生活しているので、そもそも今回のタイトルのような疑問は微塵も浮かばないのかもしれません。
家族や友人、先生ましてやお医者さんや靴を売っている量販店の店員さんまで
「クッション性が高い方が衝撃を吸収して身体に良い」と言うのですから、疑う余地がないのでしょう。
「クッション性が身体に良い」と言われるのは何も靴だけのことではありません。
今でこそ多少の理解が一般化してきた印象がありますが、布団やベッドは柔らかくてふかふかこそが良いものだとされていた節があるように感じます。それと同様に、椅子もまたクッション性があるほど気持ち良くて身体に優しいとされているのではないでしょうか。
実際に心地良く感じるから
布団や椅子がそうであるように、ふかふかで柔らかいものに触れると心地良いものだと感じることも事実です。
実際にクッション性の高い靴を履いてみると、地面からふわふわっと浮いたような、包まれたような、そんな気持ちにさせてくれて、あらゆる衝撃から足を守ってくれる気がしてます。
また、脱ぎ履きをする回数が多い文化の日本では、この脱ぎ履きの際に靴の柔らかさが重要で、脱ぎ履きのしやすさや、脱ぎ履きの度にクッションによる柔らかさを感じることができるので、脳が
「この靴は履き心地の良い靴だ」
と認識してくれるのでしょう。
この柔らかいものに触れると心地良さを感じるということに関しては、ある種理屈ではなく本能なのだと思いますが、この柔らかい場所に体重をあずけて動くとどうなるのでしょうか?
次はクッション性が持つ特徴に注目して情報を整理していきます。
クッション性が持つ特徴

次にクッション性が持つ特徴について身体に与えるメリット・デメリットに分けて考えていきましょう。
心地良さ
メリットとしての側面
先に説明した通り、まずは、恐らく人間の本能である
『柔らかいものに触れると心地良さを感じる』という点があります。
赤ちゃんや老人など、拙さが垣間見れるとそこに可愛さを感じるのと同様に、柔らかさは身体にとって優しいものだと脳が感じるように出来ているのでしょう。
また、柔らかく、ふわふわっと浮いたような感覚が重力から開放されたような非現実的で開放感を感じさせてくれているのではないでしょうか。
デメリットとしての側面
文字通り『クッション』や『ぬいぐるみ』のように、単に感触を楽しむものであればメリットとしての側面のみを享受できるのですが、そのクッションに体重をあずけて動くと身体がどういう反応をするかが重要です。
経験がある人もいるかと思いますが、ふっかふかのベッドで寝ると腰を痛めたり、ふっかふかのソファに長時間いると背中が痛くなったりすることがあります。
これはメリットであった、柔らかくふわっとした感覚に安定感が感じられず、脳が安定感を求めて緊張し、身体が沈まないように腰や背中に力を込めることでバランスを取ろうとすることが原因です。同じことが靴の中でも起きているのです。
本来裸足で土の上を歩く仕様になっている身体に対して、このような感覚を与えることで、足は『歩く』『立つ』ことに必要な筋肉以上に、安定させる力も使うことで、その動作以上の疲労が出てしまっているのです。
たちが悪いことに、本能的なメリットを感じてしまっているので、この緊張や疲労がクッション性の高さから来るものだとは微塵も感じることが出来ない状態が生まれてしまっているのです。
柔らかいものを触って心地良いのと、柔らかいものに体重をあずけて心地良いはイコールではなくむしろ全く関係ありません。ただ触れた心地良さとともに、体重をあずけたことによる緊張が同時に起きていることに気づかないだけです。
衝撃吸収
メリットとしての側面
わかりやすいイメージは、車のエアバッグでしょうか。
棒高跳びのマットもそうであるように、身体を衝撃から守る役割が大きなメリットです。
生活の中では、例えば疲れた状態で家に帰ってきたときには一目散にベッドに「ドスンッ!」と行きたい方も多いのではないでしょうか。
これが靴の場合は、ジャンプやダッシュを伴う激しい競技の際に身体に与える負荷を軽減してくれることになるでしょう。
デメリットとしての側面
もともと人間の身体は、土の上を裸足で生活する仕様で出来ているので、靴を履いてコンクリートの上を歩くようになった現代でもその仕様は変わっていません。
今も昔も足を怪我のリスクから守るために靴を履くのですが、本来裸足で地面から得た情報を正確に脳に伝達し、身体をより効率よく使うことで能力を発揮するその身体に、果たして私生活において『衝撃吸収』するほどのクッション性が必要なのでしょうか。
ただでさえ靴を履く文化によって、能力が遮られているのにも関わらず、衝撃を吸収することを優先しクッション性を高めることで、地面の情報は正確に伝わらず、現状に適した筋肉を使うことができなくなっているのです。
まとめ

クッション性の良さを心地良く感じるのは、あくまで触れて楽しむ領域までの話であって、ベッドやソファ然り、靴などの我が身をあずけて使う領域には、デメリットとしての側面が顕著になってしまうのだけであり、
「クッション性が身体に良い!」なんて表面的な答えはあるはずもないということが改めてわかったのではないでしょうか。
これで周りの意見や、謎の売り文句に左右されることなく検討できるようになりますね!